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白崎 謙次*; 田端 千紘*; 砂賀 彩光*; 酒井 宏典; Li, D.*; 小中 真理子*; 山村 朝雄*
Journal of Nuclear Materials, 563, p.153608_1 - 153608_11, 2022/05
被引用回数:2 パーセンタイル:53.91(Materials Science, Multidisciplinary)添加剤を変えながらウラン酸化物(U, )O (=Th, Np)固溶体を超臨界水熱合成で調製した。それらの試料の均質性をVegard則に基づいた結晶構造解析や、(U, Np, Na)O固溶体については、Na核核磁気共鳴(NMR)によって調べた。その結果、(i) (U, Th)O固溶体の場合は、炭酸アンモニウムを添加剤として、IV価ウランから出発し、(ii) (U, Np)Oの場合は、エタノールを添加剤として、VI価ウランから出発すると、均質な試料が得られることがわかった。
Pham, V. M.*; 有馬 立身*; 稲垣 八穂広*; 出光 一哉*; 秋山 大輔*; 永井 崇之; 岡本 芳浩
Journal of Nuclear Materials, 556, p.153189_1 - 153189_9, 2021/12
被引用回数:1 パーセンタイル:16.35(Materials Science, Multidisciplinary)純Ar及びAr-10%H雰囲気1973Kで8時間焼結させた(1-x)UO-xLnO (Ln=Gd or Er; x= 0 to 0.4)試料の結晶構造変化を評価した。UOに対してLnOを添加した場合の構造への影響を、X線回折(XRD)及びX線吸収微細構造(XAFS)法によって調べた。UOにLnOを添加していくと、40mol%LnO組成まで、UO-LnO固溶体の格子定数が減少していった。これらの試料の格子定数の値は、化学量論比(U,Ln)Oの固溶体とほぼ同じであったことから、試料中のO/M比は2.00に近い状態にあるとみられる。U原子L吸収端のXANES解析は、試料中のUの酸化数に関して、4価に加えて、より高い5価あるいは6価の生成を示した。また、EXAFS解析から、U-OとGd-Oの原子間距離はxの増加とともに減少したが、Er-Oの原子間距離は単調に減少しないことがわかった。
山下 利之; 山崎 哲*; 佐藤 剛*; 松井 恒雄*
Journal of Nuclear Science and Technology, 39(Suppl.3), p.656 - 659, 2002/11
耐放射線損傷性と相安定性に優れ新燃料や高レベル廃棄物材料として注目されているイットリア安定化ジルコニア(YSZ)について、PuOとの反応を空気,真空及び水素雰囲気中で調べた。得られた蛍石型固溶体相の格子定数はPuの固溶に従い増加し、Puは少なくとも50%以上YSZ中への固溶することがわかった。固溶体の格子定数をPu含有量関数として定めた。また、蛍石型固溶体相の熱膨張を高温X線回折法により空気中1273Kまでの範囲で調べた。Pu含有量0~25%の固溶体の熱膨張係数は6~1210Kの範囲にあり、1000K以上の温度でPu添加量の増加に従い熱膨張係数は小さくなることがわかった。
原田 大実*; 日夏 幸雄*; 正木 信行; 中村 彰夫
Journal of the American Ceramic Society, 85(3), p.647 - 652, 2002/03
1500~1550空気中で作成されたハフニア-ユウロピア固溶体酸化物EuHfO系を粉末X線及びEu-メスバウア分光を用いて研究した。X線の結果は0.20x0.725の広い組成域でフルオライト(螢石)型の固溶体が生成することを示した。この固溶体相はx=0.50近傍(0.45x0.575)ではパイロクロア型の長距離秩序構造を、またこの両側の0.20x0.40,0.60x0.725では無秩序欠陥螢石構造を取ることがわかった。3価ユウロピウム(Eu)のメスバウアスペクトルのアイソマーシフト(IS)の値は、パイロクロア相の生成するx~0.5付近で顕著な極小値を取ることが明らかになった。この結果は、従来から言われているEu-Oボンド結合長とISとの相関関係に照らして、パイロクロア相が最長のEu-Oボンド長を持っていることを示唆する。X線構造解析から得られるこれら固溶体相のEu-Oボンド長に関するデータは、このEu-メスバウア結果を支持する。
山中 伸介*; 宇埜 正美*; 黒崎 健*; 山本 一也; 滑川 卓志
JNC TY9400 2000-011, 41 Pages, 2000/03
高燃焼度時における高速炉用MOX燃料の熱物性および機械的性質を評価するための基礎的研究を実施し、以下の結果を得た。高燃焼度時に高速炉用MOX燃料中に生成する核分裂生成物(Fission Product;FP)からなるFP析出相として、FPとアクチニド元素との複合酸化物相を取り上げその基礎物性測定を実施した。酸化物相のうちペロブスカイト型BaUO3の熱伝導率はUO2に比べ約一桁小さい値となり、燃料ペレット全体の熱伝導率を減少させる可能性があることを確認した。またBaUO3の弾性定数はUO2の弾性定数の約30%程度であることが判った。このことから燃焼が進み酸化物相が燃料母材中に析出した場合、特に偏析した場合は、燃料ペレット全体としての応力状態が不均一になり機械的特性が低下する可能性があることが判った。また、燃料母材中に固溶する元素が燃料の物性に及ぼす影響を調査するために分子動力学法(Molecular Dynamics;MD)を用いた物性予測を実施した。計算結果と昨年度実施した実験結果との間で妥当な一致が見られ、分子動力学法がMOX燃料の物性を評価する上で重要なツールと成り得ることが確認できた。
上羽 智之; 水田 俊治; 鵜飼 重治
JNC TN9400 2000-028, 41 Pages, 2000/03
改良オーステナイト最適化鋼(14Cr-25Ni鋼)は改良オーステナイト鋼(15Cr-20Ni鋼)の更なる耐スエリング性能を改善するため改良を行っている炉心材料である。この改良では照射中の析出物の微細・安定化を図るために、Ti,Nb,V,Pを複合添加し高温溶体化処理によってマトリックスに固溶させている。更に、最終冷間加工において加工度の増加と同時に残留応力を低減化している。14Cr-25Ni鋼の試作被覆管について実施している炉外試験のうち、組織観察(製品まま)、固溶量測定、結晶粒度測定の結果を評価し、以下の結果が得られた。(1)組織観察では、粒内に球状の析出物が認められた。EDXによる組成分析の結果、この析出物はTi,Nbの複合炭窒物[Ti,Nb(C,N)]がほとんどであった。(2)固溶したTiとNbの添加量に対する割合はそれぞれ70%、30%程度であった。未固溶のTi,Nbは未固溶CとMC型の炭化物を形成している可能性がある。(3)添加元素をマトリックスに十分に固溶させるために溶体化処理温度を高温にすると結晶粒が粗大化しやすくなり、超音波探傷検査におけるシャワーエコーの発生原因となる。結晶粒度測定の結果、Nbの添加量を標準鋼(0.2wt%)よりも少なくした鋼種(0.1wt%)では粗大粒の発生が少なく、Nb添加量の減少による結晶粒度制御の効果が確認できた。また、合金元素の固溶を促進させるために溶体化処理温度を高くしても、例えば中間冷間加工度を高めにすると同時に中間熱処理温度も高くするなど中間冷間加工と中間熱処理の条件を適切に設定することにより結晶粒の粗大化を抑制できる可能性がある。
正木 信行; Guillermo, N. R. D.; 音部 治幹; 中村 彰夫; 泉山 ユキ*; 日夏 幸雄*
Advances in Science and Technology, 29, p.1233 - 1240, 2000/00
Eu-メスバウア分光法及び粉末X線回折法を用いて、螢石型酸化物固溶体系EuMO (M=Zr,Ce)(0y1.0)中のEuの周囲の局所(欠陥)構造を明らかにする検討を行った。得られたEuのアイソマーシフト(IS)は、ジルコニア系(M=Zr)ではパイロクロア相の生成するy~0.5近傍で最小値を取ることを見いだした。他方、セリア系(M=Ce)では、それはyとともにスムーズに増加した。結晶学的データに基づき、両系でのこのようなIS挙動の顕著な相違を矛盾なく解釈することのできるモデルを提案した。これらの結果は、同一の所謂「欠陥型螢石型相」においても、両者、すなわち安定化ジルコニア系とドープトセリア系のそれは、構造的にはかなり異なった局所構造を持つことを示している。
荒井 康夫; 中島 邦久; 鈴木 康文
Journal of Alloys and Compounds, 271-273, p.602 - 605, 1998/00
被引用回数:16 パーセンタイル:68.02(Chemistry, Physical)ネプツニウムを含む一窒化物固溶体、(U,Np)N及び(Np,Pu)Nの熱伝導度を、740-1630Kの温度範囲で測定した。試料には、炭素熱還元で調製したUN,NpN及びPuNを機械混合の後、窒素-水素混合気流中で加熱して固溶体化したものを用いた。熱伝導度は、レーザフラッシュ法で測定した熱拡散率、文献値から推定した比熱容量及び試料の形状密度から求めた。測定温度範囲において固溶体試料の熱伝導度は、UN等と同様に温度とともに漸増する温度依存性を示した。また、組成依存性についてはUN側からPuN側に向けて減少し、とりわけ(U,Np)NではUNリッチ領域、また(Np,Pu)NではNpNリッチ領域で熱伝導度が大きく減少する傾向を示した。この熱伝導度の減少は、主に電子伝導の寄与の減少によるものと推定した。
鈴木 洋平*; 村上 隆*; 小暮 敏博*; 磯部 博志; 佐藤 努
Mat. Res. Soc. Symp. Proc., 506, p.839 - 846, 1998/00
ウラニル鉱物はウランの壊変などに起因する性質やpH,Eh依存性などにより、それが形成した地球化学的条件や年代などの重要な情報をもたらす。本研究では、サレアイト(Mgウラニルリン酸塩)とメタトーバナイト(Cuウラニルリン酸塩)の形成過程に関する結晶化学的条件について報告する。サレアイトは、室温または30Cで湿度によって可逆的に水和と脱水が起こる。電顕観察によると、サレアイトとメタトーバナイトはそれぞれ独立に形成されたと思われる。結晶層間の水分子とMg,Cu間の距離は10%以下しか違わないが、局所的な構造の違いによりこれら2つの鉱物は別の層として形成し、複合層や固溶体を作らない。この結果から、他のウラニルリン酸塩についても同様に固溶体や複合層の形成は起こらないものと思われる。
中村 彰夫
Zeitschrift fr Physikalische Chemie, 207, p.223 - 243, 1998/00
固相起電力法(Ni,NiO|安定化ジルコニア|UGdyO)により表記のウラン-ガドリニア固溶体系(y=0.05,0.10,0.20,0.30)の酸素ポテンシャル(g(D)=h(O)-TS(O))を0.0025≦x≦0.18,及び500≦T≦1100Cの範囲で正確に決定した。得られたg(O)データに統計処理を行うことにより、その酸素の部分モルエンタルピー及びエントロピー(h(O),S(O))を、温度T(K),不定比組成(x)及びGd含有量(y)の関数として正確に表す熱力学的表式を導いた。その結果、本系のanti-g(O),h(O),S(O)が、すべて各々のx,Tを含む単一のマスター・カーブで表されることが明らかにされた(その相対的変化のみがyに比例して変化する)。他の温度及びy領域をカバーする文献データとの比較から、ここで導いた表式がT=1500C及びy~0.6の範囲まで適用可能なことがわかった。
山下 利之; 白数 訓子; 辻 利秀*; 加藤 徹也*
Journal of Nuclear Materials, 247, p.90 - 93, 1997/00
被引用回数:51 パーセンタイル:94.73(Materials Science, Multidisciplinary)燃料の高燃焼度化やMOX燃料の使用に伴い、長半減期のマイナーアクチノイド(MA=Np,Am,Cm)が燃料中に蓄積される。NpはこれらMAのうち、約60%を占めるが、Np-U-O系の基礎的性質はほとんど知られていない。著者らは先にNp-U-O三元系相平衡図を明らかにした。その知見をもとに、広い組成範囲にわたり均質な相を形成する(Np,U)O固溶体の熱膨張を、高温X線回折法により測定した。温度範囲は室温から1000C、試料の酸化を防止するため8%H/He雰囲気中で実験を行った。各試料ともに再現性の良い値が得られた。試料の格子定数はNp量の増加に伴いほぼ直線的に減少することから、NpOはUOとほぼ理想的な固溶体を形成すると考えられる。固溶体の熱膨張及び熱膨張係数を組成と温度に関して述べる。
荒井 康夫; 中島 邦久; 鈴木 康文
Proc. of 4th Int. Information Exchange Meeting on Actinide and Fission Product Partitioning and Transm, 0, p.347 - 357, 1997/00
ほぼ全組成領域をカバーする、ネプツニウム・プルトニウム混合窒化物固溶体を調製し、その性質を調べた。固溶体試料はそれぞれ炭素熱還元法で調製したネプツニウム窒化物とプルトニウム窒化物の混合成型体を、窒素-水素混合ガス気流中において2023Kで熱処理することにより調製した。室温でのX線回折により単相の固溶体形成を確認するとともに、格子定数の組成依存性を調べた。また、高温質量分析法による蒸気圧測定、レーザーフラッシュ法による熱拡散率測定を行い、気相中のNp(g)及びPu(g)分圧の温度依存性ならびに組成依存性や、熱拡散率から求めた固溶体試料の熱伝導度等について新しい知見を得た。
荒井 康夫; 岩井 孝; 中島 邦久; 鈴木 康文
Proc. of Int. Conf. on Future Nuclear Systems (Global'97), 1, p.664 - 669, 1997/00
一昨年ベルサイユで開催されたGlobal'97以降、原研で進められてきたアクチニド窒化物燃料の実験研究の成果を紹介するものである。燃料特性評価においては、U及びPu以外にNpを含む窒化物固溶体に着目し、それらの熱伝導度の温度依存性及び組成依存性を明らかにするとともに、高温質量分析法を用いて蒸発挙動を測定した。照射挙動解析では、JMTRにおいて燃焼度5.5%FIMAまで照射した燃料ピンの照射後試験結果から、その健全性を明らかにするとともに、FPガス放出やスエリング等について新たな情報を得た。また、乾式再処理への適用の分野では、新規に設置したグローブボックス内の溶融塩電解試験装置を用いて、今後の試験を進める上での基本となる、LiCl-KCl共晶塩中でのPu及びNpの電析挙動を調べた。
田中 晧*
PNC TJ1211 95-003, 38 Pages, 1995/02
緩衝材の化学的緩衝作用をモデル化することは、性能評価上重要な課題である。平成6年度は、緩衝材の主要鉱物であるスメクタイトのイオン交換反応、表面電気化学的特性及びこれら特性データのデータベース化に関する検討を実施した。1.固溶体モデル開発のための試験研究及びモデル研究(1)CaCl-Z及びMgCl-Zのイオン交換平衡定数の評価感度解析により、CaCl-Z及びMgCl-Z(Z:スメクタイトの吸着相)の平衡定数は、それぞれLog値で22.8、23.0と評価された。(2)固溶体モデルの適用性に関する検討イオン交換平衡モデルを用いて3元系でのイオンの吸着分配を計算し、実験値と比較を行った。その結果、K+については相違が見られたものの、Ca2+及びH+イオンについては実験値と計算値はほぼ一致することがわかった。2.スメクタイトの表面電気化学的特性に関する研究(1)ベンナイトと蒸留水及び人工地下水反応のモデリング佐々木ら(1995)によるベントナイトのイオン交換反応試験の結果を用いて、拡張Wannerモデルの検証を行った。(2)スメクタイト表面の酸/塩基特性の検討小田(1994、1995)による酸/塩基滴定の実験結果について解析を行った。3.核種の吸着及び拡散現象に関する固有データベースの開発研究核種の吸着及び拡散現象に関する固有データベースについて検討を行った。その結果、吸着モデルと拡散モデルを総合するISDデータベースシステムが提唱された。
小西 哲之; 長崎 正雅; 林 巧; 奥野 健二
Journal of Nuclear Materials, 223, p.300 - 304, 1995/00
被引用回数:22 パーセンタイル:87.04(Materials Science, Multidisciplinary)金属間化合物ZrCoは室温付近で水素同位体を吸収する一方、400度付近で1気圧程度の圧力のガスを放出するため、金属ウランの代替物質としてトリチウムの回収、貯蔵供給に広く使われつつある。しかし長時間の加熱状態の想定されるような、トリチウムの供給に重点のある利用法では、トリチウム放出温度が若干低い方がトリチウム透過、グローブボックス熱負荷、不均価反応の防止のために望ましい。金属間化合物HfCoはZrCoと同一の結晶構造、極めて近い格子定数を持ち、ZrCoと固溶体を作ることが期待される一方、水素に対しては数桁高い平衡圧を示す。Hf、Zr、CoをZrHfCo(0≦x≦0.5)の組成に混合溶解して生成した物質はX線分析では見かけ上単一相で、その組成-圧力等温線は単一の水素化物相を示す。平衡圧の温度依存はアレニウス表現でき、HfCo含有量により高圧側へ平行移動する。つまりこの貯蔵材は水素平衡圧を制御できる。
小西 哲之; 長崎 正雅; 林 巧; 奥野 健二
Fusion Technology, 26(3), p.668 - 672, 1994/11
金属間化合物ZrCoはウランの代替物質としてトリチウムの回収,貯蔵,供給に広く使われつつあるが、時として加熱再生しても水素が残留し、吸蔵容量が減少する現象が発生する。X線分析の結果、これは比較的高温,高水素圧下でZrCoHがZrHとZrCo相を生ずる不均化反応と判明した。この過程は可逆で、不均化した物質は高温真空排気によりほぼ完全にZrCoに戻る。不均化は400度以下では極めて遅いためZrCo基の、より水素平衡圧の高い物質が合成できればこの問題を回避できる。HfCoはZrCoと同一の結晶構造、近い格子定数を持ちZrCoと固溶体を作ることが期待される一方、水素に対しては数桁高い平衡圧を示す。Hf,Zr,Coの混合溶解で生成した物質はX線分析の結果単一相を示し、その水素平衡圧の温度変化はHfCo含有量によりほぼ平行移動する。この結果は任意の水素平衡圧を持つ貯蔵材料を合成できる見通しを示唆する。
佐藤 努
SMECTITE, 4(1), p.48 - 51, 1994/05
ベントナイトの主成分鉱物であるスメクタイトの地球化学的過程における熱力学的挙動を予言するためには、スメクタイトの反応性や安定性についての理解が不可欠であり、そのためにも、スメクタイト族に含まれる鉱物どうしの相関係や関連鉱物との相関係の解明が必須となる。本文献紹介では、中間組成を持つスメクタイトの相関係に関する研究を紹介し、それぞれの見解や筆者が考える問題点についてまとめた。また、相関係を論ずるためのデータとその信頼性について、筆者の考えを明示した.
浅野 闘一*
PNC TJ1211 94-005, 55 Pages, 1994/02
緩衝材による化学的緩衝作用とは、粘土鉱物のイオン交換反応により支配される。また、核種の移行挙動は、緩衝材との相互作用及び緩衝材の空隙特性によって支配される。本年度は、粘土鉱物(スメクタイト)のイオン交換反応モデルに関する研究を進めるとともに、クニゲルV1を用いてUとAmの実効拡散係数を測定した。1.固溶体モデル開発のための試験研究及びモデル研究(1)スメクタイトのイオン交換反応モデルに関する検討Na型スメクタイトについて、K+、Ca2+、Mg2+、H+とのイオン交換平衡定数を測定した。その結果、それぞれのイオン交換平衡定数(Ln Kex)は、1.19、-0.25、0.64、1.17と求まった。またPHREEQEを用いてイオンの分配平衡を計算し、実測値との比較検討を行った。その結果、K+及びH+との分配平衡については、理想固溶体モデルによりほぼ推定可能であることがわかった。Ca2+及びMg2+については、塩化物イオン(CaCl+、MgCl+)によるイオン交換反応を考慮する必要があった。(2)平成4年度のイオン交換試験データ及び固溶体モデルのレビュー平成4年度に実施したNa型スメクタイトのイオン交換試験の結果と、MX-80について取得されたSpositoのイオン交換平衡定数を用いて計算した結果を比較した。その結果、両者はほぼ一致することから、Spositoのイオン交換平衡定数を用いて、Na型スメクタイトのイオン交換平衡を推定することはほぼ可能であることが示された。2.ベントナイト中での核種の実効拡散係数の測定(1)Uの実効拡散係数の測定クニゲルV1を用いてUの実効拡散係数を測定した。クニゲルV1の乾燥密度が0.4、1.0、1.4、2.0g/cm3の場合、実効拡散係数はそれぞれ4.010-11、1.210-11、2.610-12、3.510-12m2/sと測定された。(2)Amの実効拡散係数の測定試験容器への吸着が問題となったため、試験溶液を酸性(pH2)に調整して実効拡散係数を測定した。クニゲルV1の乾燥密度が0.8、1.4、1.8g/cm3の場合、実効拡散係数はそれぞれ7.410-11、5.210-11、1.810-11m2/sと測定された。
日夏 幸雄
日本原子力学会誌, 36(8), p.714 - 726, 1994/00
被引用回数:1 パーセンタイル:17.88(Nuclear Science & Technology)螢石型構造またはペロブスカイト型構造を持つウラン複合酸化物の磁気的性質をまとめ、固体中での5f電子の挙動を議論した。螢石型構造を持つMyUO(M=希土類、アルカリ土類金属)の磁化率をレビューし、CeUO固溶体で見い出した電荷移動を議論した。MUO(M=アルカリ金属)、秩序化ペロブスカイトBaMUO(M=希土類、遷移金属、アルカリ土類金属)の磁化率と常磁性共鳴吸収(EPR)をレビューした。低温で見い出されるウランイオン間の磁気的相互作用のEPRのg値を議論した。また、磁気的相互作用の臨界U-U距離を導いた。
田中 ひかる*
PNC TJ1211 93-010, 56 Pages, 1993/02
緩衝材による地下水の化学的緩衝作用及び核種の移行挙動は、いずれも高レベル放射性廃棄物処分施設の性能評価研究分野における重要な研究対象である。今年度は、化学的緩衝作用についてスメクタイトを固溶体として捉えたモデル開発のためのデータ取得に着手した。また、核種の移行挙動については、モデル確証のためのデータ取得、ベントナイトの基礎的特性の把握を行った。結果は以下の通りである。1.固溶体モデル開発のためのデータ取得(1)化学的緩衝性特性試験イオン交換反応について、平衡定数、固相を含めた物質収支及びpHの影響の面から検討を行い、試験手法の改善及び反応におけるH+の考慮の必要性が明らかになった。(2)スメクタイトの骨格の溶解速度に関する試験スメクタイトをモンモリロナイト、バイデライト及びノントロナイトの固溶体と考え、Mg、Fe、Alの浸出指標としての適用性を検討した。pH中性付近における3か月、90までの浸出では、これら元素の有意な浸出は観察されなかった。2.ベントナイトの空隙構造に関する検討(1)クニゲルV1での定常拡散試験Tc、Cs、Raについて定常拡散試験を行い、実効拡散係数を測定した。TcとCsについては電気二重層理論からの推定と一致したが、Raでは異なる傾向が観察された。(2)クニゲルV1のゼータ電位測定昨年度行ったクニピアでの表面電位測定値と同様の値が得られた。また、電解質のタイプを厳密に扱った場合と1:1型で近似した場合とで得られる表面電位がほぼ一致することが確認された。(3)実効拡散係数の圧密方向依存性の検討クニゲルV1では圧密方向依存性は認められないが、クニピアでは圧密方向と同じ方向で小さな拡散係数が得られた。この結果は、SEM観察により粒子の微視的配向で説明されることが確認された。